いまこそ、対馬へ

書評

日韓関係の冷え込みから、思わぬ大打撃を受けている対馬。
年間40万人以上訪れていた韓国人観光客も、9月からは8割以上激減。閑古鳥が鳴いているという。そんな対馬へ来週も出張予定の前田です。

『マンガ対馬の歴史偉人物語』シリーズでお世話になっている対馬へは、福岡から飛行機で30分ほど。シーカヤックが人気のきれいな海に、トレッキングが楽しめる豊かな山々、日本三大墓地のひとつ「万松院」などなど、魅力満載な島です。

そんな魅力あふれる対馬の観光スポットのなかでも、ぜひ注目していただきたいのが、ズバリ「神社」です。対馬は、『延喜式』に記載された神社(式内社)の数も、なんと九州ナンバーワン。

今回は、そんな対馬にまつわる本をご紹介します。

内田樹・釈徹宗 著『聖地巡礼 コンティニュード』(2017年、東京書籍)

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聖地と聞いて、あなたはどこを思い浮かべるだろうか。本書は、思想家の内田樹氏が主宰する武道と哲学のための学塾「凱風館」を拠点に活動する「巡礼部」が、日本各地の「聖地」を訪れるシリーズ本で、本作が4作目となっている。

聖地という言葉を聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは、エルサレムであった。ご存知、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地である。「聖」とつくと、先の3大宗教をはじめ、日本においては神道よりも仏教のイメージが強く、なんとなく「日本」に「聖地」という言葉がしっくりこない感じがしている。日本神話や、神道にとって「聖地」という言葉は、どうにも違和感がある気がするのはなぜだろうか。そんな個人的感情はさておき、今回一行が訪れた対馬は、日本神話の源流が感じられる場所だという。

国境の島・対馬は、晴れていればその北端から釜山が見えるほど、韓国との距離が近い。当然、古代より大陸との行き来は盛んに行われていたようだ。そのため、宗教もさぞ大陸的で習合的かと思えば、むしろ、日本の古い姿をそのまま留めているようで、神道の原型、あるいはそれ以前の古代信仰を体感することができるのだそうだ。

本書を読めば、なぜ対馬で日本の源流が感じられるのかが、だんだんと理解できてくる。ガイドの案内なしに行くことは難しいところも多々あるが、「日本の源流」を感じに、ぜひ対馬に赴いてみたいと思った。

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