福岡は暑さもぶり返し、近くまでやってきていた食欲の秋も遠のいていった気もする今日この頃。どうも前田です。
とは言ったものの、今年も夏バテとは無縁で、年がら年中、食欲旺盛に美味しいものを食べまくっている気がするので、食欲の秋ってなんだとか思ってしまいます。
ところで先日、長期の海外旅行から帰国した友人が、「結局、食べ物は日本がいちばん美味しい!」と言っていました。
日本では、本場に勝るとも劣らないイタリアンやフレンチ、中華などなど本当に多国籍の料理が、きれいでおいしい環境で食べられる。
机はきれいだし、黙っていても水は出てくるし、店員さんの愛想はいいし…。
日本って天国だ!と思ったそう。
現地で味わうからこその美味しさや楽しさもありますが、あらためて日本は食に恵まれているな、というか食にかける情熱がすごいなと感じました。
ということで、今回は食欲の秋を前に、「味」にまつわる本をご紹介したいと思います。
小泉武夫 著『不味い!』(2005年、新潮文庫)
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不味いものは、なぜ不味いのか。
不味い食べ物に遭遇したとき、腹ただしい想いを抱くのは人間の性であろうか。空腹は最高のスパイスともいうが、お腹を空かせ、楽しみにしていた食事にようやくありつけたとき、脳天を貫く不味さという思いがけない不意打ちを受ければ、怒りを覚えるのも無理ないように思える。
誰もが多少なりとも覚えがあるだろう、「不味い」ということへの憤り。その「不味さ」に真正面から向き合ったのが本書である。著者は寄食・珍食ハンターとしても有名な食の冒険家・小泉武夫氏。不味いものはなぜ不味いのか。湧き上がる怒りを乗り越え、「不味さ」の原因を科学的に追及する、飽くなき食への真摯な情熱。そして、不味さの原因を探る分析力もさることながら、どう考えても美味しくはなさそうな、カラスやカメムシの幼虫までも、「もしかしたら美味いかもしれない」と果敢に挑む姿は誠に敬服する。
不味さを分析することは、同時に美味さを追求することでもある。世の中に不味いものがあるからこそ、美味いものも存在するのだ。
本書を読めば、不味いものに出くわしたとき、ただただ憤るだけでなく、「なぜ不味いのか」を考えることで、「これも勉強」と思えるようになるかもしれない。そして不味さの理由がわかれば、同じ轍は踏まないようになるだろう。また、世の中にあふれる「濃い味」に慣れて、「不味い」と感じることすら麻痺してしまいがちな現代人にとって、自分の味覚を見つめなおす良いきっかけにもなるかもしれない。
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