コロナ禍の影響で、オンラインミーティングもすっかり定着したように思える。
これまで頑なに「対面主義」だった方々も、否応なしにオンラインミーティングやテレワークをせざるを得なくなり、加速度的にオンライン化が浸透していった。
別にオンラインでのミーティングに大反対するわけでもなかったと思うが、ミーティング、面談といえば対面で、という「当たり前」をわざわざ崩そうという気もなかったと思う。
しかし、やってみると案外オンラインもいいね、とその利点を享受するやいなや、「オンラインアレルギー」のようなものは一気に取り払われていったのではないだろうか。
なんでもまずはやってみることが大事だと、あらためて気づかされるこの頃だ。
もちろん、オンライン化の利点を喜ぶ一方、リアルならではの良さやありがたみを噛み締めることもあるだろう。
オンラインはオンライン、リアルはリアルの良さがあるが、その特性を理解し、自分はどうかかわり、どう活用していくか、という軸を考えておく必要もあるように思える。
そんなわけで、もうだいぶ前に書いた書評ではあるが、今回はネットとリアルに関する本を紹介したい。
東浩紀『弱いつながり 検索ワードを探す旅』(2014年、幻冬舎)
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「人間関係を大切にするな!」
「友人に囚われるな!」
なんとも刺激的な言葉が帯文に躍っている。これは本書で語られるネット論の結論ともいえる言葉である。やや乱暴に聞こえるかもしれないが、ソーシャルネットワーク時代ともいえる現代において、ひとが自由であるためには大切な心得であるという。
SNS疲れという言葉もあるように、ネットにはその功罪がある。そのひとつが、ネットによる「強いつながり」への偏重と、リアルの「弱いつながり」の喪失だ。
強いネットと弱いリアル。一般的に、ネットのつながりは弱く、リアルのつながりは強いと思われがちである。しかし、ネットこそがつながりをより強く、偏ったものにしていき、リアルこそが「思いもよらない」弱いつながりを産むものである。
本書がテーマとしてかかげるのは、弱い絆と強い絆、ネットとリアル、環境を変えることで得られる「ノイズ」といったものだ。
検索すれば何でも知ることができると錯覚してしまいがちな現代。しかし、何かを検索しようと思ったとき、その検索しようと思った「何か」を発見するのは、概して現実の世界においてである。どんな言葉で検索するか、その選択によって、見える世界はがらりと変わってくる。
検索エンジンが予測できない言葉で検索する。ふれてみなければ分からなかったリアルにふれる。そしてランダムに訪れるノイズにたくさん遭遇する。
弱いつながりと強いつながりを意識して使い分けることが、これからの時代の必須教養なのかもしれない。
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自粛期間中、オンライン飲み会もしばしばやってみたが、それはそれで楽しいものであった。
最長記録7時間。ちょっと(?)飲み過ぎた気もするが、遠方の友人ともつながりやすいし、Googleフォトと画面共有の組み合わせ技で盛り上がったりと、オンラインならではの良さを堪能できたのはよかった。