ウクライナ文学、そしてロシア文学

梓のつぶやき

今週から急に温かくなり、一気に季節が春めいてきましたね。突然の気温の変化に着る服がなく、調子が狂いがちな今日この頃です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

さて、春到来のニュースと並行して、テレビもネットも毎日ウクライナの情勢を伝えています。突然始まって依然続いているこの戦争、いったいいつまで続き、どのように終わるのか……そもそも、なぜこんなことが起きているのか……。
すでにその影響は世界中に広まり、日本でも物価の上昇などという影響が出ています。現地の被害は計り知れませんが、画面越しの映像や身近な影響から、今も遠い地で、侵略しまた侵略されている人々がいるのだなと感じます。

ウクライナという国になかなか馴染みがなかったのですが、ツイッターでウクライナ文学の特集をしている書店さんのツイートを見かけました。私はその中に、ゴーゴリ(代表作:「鼻」「外套」など)やブルガーコフ(代表作『巨匠とマルガリータ』など)といった、過去に読んだ作家の名前を発見しました。
あの作家たちは、ウクライナ人だったのか! それまで曖昧だったウクライナという国が、急に形を持ったような気がしました。

さて、現在もっとも手に入りやすいウクライナに関わりのある作家といえば、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏でしょう。ベラルーシ人の父とウクライナ人の母をもつノンフィクション作家で、2015年にノーベル文学賞を受賞し、日本でも話題となりました。また、代表作『戦争は女の顔をしていない』が2020年に小梅けいと氏により漫画化され、こちらも素晴らしいコミカライズとして、より作品を広めることとなりました。
私はコミックの方は読んでいたのですが、原作の方は未読だったため、現在少しずつ読み進めています。この本は、第二次世界大戦の独ソ戦に従軍した女性たちにアレクシエーヴィチ氏がインタビューした聞き書きをまとめたものです。時代は違えど、今の状況と重ねて読める部分もあり、また戦争というものがいかに恐ろしく理不尽なものであるかがひしひしと伝わってきて、本当に恐ろしいです。

なぜこんなに恐ろしい、戦争というものが起こるのか? 私はロシア文学も大好きです。ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ……彼らが書いたものは本当に本当に素晴らしい。だから、ロシア文学も引き続き読んでいきたいと思っています。
その国の文学を読むと、それは全く見知らぬ他者から、少しだけ見たことのある他者に変わる気がします。文学が役に立つかと言われてもよくわかりませんが、こういう時に文学という存在があるのはいいことだな、と思います。
遠い国の出来事としてでなく、かつて我々も同じ経験をした国だからこそ……そしてこんなことは考えたくありませんが、いつでも私たちが加害者にも被害者にもなりえるからこそ、いろんなことを学んでいきたいなと思います。

タイトルとURLをコピーしました