小倉の底力

書評

九州初の政令指定都市はどこか?
と問われれば、
「福岡!」と言いたくなる方も多いだろう。

しかし、である。

福岡市が政令指定都市になったのは、九州で2番目。
1972年のことである。

では一番目はどこか。

福岡市の指定から遡ること9年。

1963年に政令指定都市となった
北九州市である。

そんな九州一の都市だった
北九州は小倉に縁のある本を、
今回はご紹介したい。

松本清張『点と線』(1971年、新潮社文庫)
*初版は1958年、光文社刊

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清張以前と清張以後。そんな言葉が生まれるほどに、空前の社会派推理小説ブームを巻き起こした松本清張。その原点とも言われるのが本書である。

博多で起きた情死事件をきっかけに、博多のベテラン刑事・鳥飼重太郎と、本庁の若手刑事・三原紀一が事件の真相に挑む本作は、謎解きの面白さもさることながら、心情描写も豊かで、登場人物たちの人間味も魅力のひとつとなっている。

本書を手に取ったきっかけは、北九州市小倉を訪れた際、不意に立ち寄った松本清張記念館だ。「松本清張スペシャル」と題したTVドラマ企画があったり、多数の映像化作品があったりと、その名は聞き及んでいたが、私はそれまで、いまひとつ松本清張という人物が何者かということを理解していなかった。

しかし、本館で松本清張の圧倒的な才覚に触れて、度肝を抜かれた。時代小説から小説家としてのキャリアをスタートさせた松本清張だが、実に多様なジャンルを切り開いており、何某小説家とジャンル分けすることも難しい。時代物から、推理小説、古代史や現代史へと、飽くなき挑戦意欲を持ち続けた清張は、もはや「松本清張」というジャンルを確立させた小説界の巨人ともいえよう。そこで代表作といわれるものをひとつ読んでみようという気になり、本書を手に取った次第だ。1958年に雑誌連載を経て出版された本書には、当時の時代の息遣いを感じさせてくれる楽しさもある。推理小説という性質上、内容を語ることが憚られるのが口惜しいが、松本清張記念館とともにお勧めしたい一冊だ。

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松本清張記念館オリジナルのブックカバーをつけてもらった『点と線』。
夜にBarへと変身する小倉城の天守閣でぱちり。

 

小倉観光の腹ごしらえには、サンドイッチの名店OCMもおすすめ。

 

小倉駅~リバーウォーク・小倉城周辺はイルミネーションもきれいなので、
冬場のデートにもおすすめ。

 

コスパ最高の大衆酒場がたくさんあるのも、魅力のひとつ。
小倉名物のぬかだき(じんだ煮)でグイっと1杯いかがでしょう。

 

そんなわけで、
日本の近代化を支え、
九州の経済発展をけん引した
旧・城下町である小倉は、
まだまだ底知れぬ魅力がいっぱい。

意外と(?)楽しい小倉観光。
松本清張とあわせてぜひ。

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