遊撃する中小企業 お試し読み
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まえがきコンテナ詰めまでを一気に可能とする乗用型の自走ピッカー「アガール」、ジャガイモ植付機「ジャガール」、根葉切断機「シアガール」、掘取機「ほるべえ」、茎抜機「ひきぬい太郎」などである。これらのネーミングはメディア受けを狙ったという。社員たちが仕事を楽しんでいる様子が目に浮かぶ。 田中工機の事例は、まさに九州の農業と工業の連携であり、工場と農家が近接していなければあり得なかったことだ。地元のニーズに合わせて農業と工業の事業者が連携して双方の価値を高めたのである。 長崎県のジャガイモは広い北海道に次いで日本で2番目の生産高であり、3位は鹿児島県である。北海道と違い、九州では年に2回収穫できる。これにより、農機の使用頻度が多くなり、耐用年数も短くなり、商品交換が早くなる。つまり、ジャガイモに特化した田中工機にとって九州は、まさに豊穣の地なのである。 最近では遠方からの問い合わせも増え始め、北海道からもオーダーが入るようになった。現在の販売先は長崎県内が6割、鹿児島県向けが2〜3割で、残りの1〜2割が他県となっている。 田中副社長は「もっと関門海峡を越えて『海外進出』しないといけないんですけどね」と冗談交じりに言うが、私は九州市場でのプレゼンスをさらに高め、九州の農家におけジャガイモ生産国内ランキング(2017年)【トップ3】北海道1,883,000t長崎県88,800t鹿児島県86,400t全国計2,395,000t9

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