遊撃する中小企業 お試し読み
6/32

まえがきしてだけではなく、地球環境への負荷が大きいと疎まれるようになっている。 うまいものには旅をさせずに、うまいものを求める人々にはうまいものがある所まで旅をしてもらう。これが九州の観光振興を微力ながらお手伝いしている私が考える正解である。うまいものが食べたければ九州にきんしゃいね。ということだ。 日本の人口減少は止まらない。九州も例外ではない。現在1億3千万人いる日本の人口が、2060年には8千万人台まで落ち込むと言われている。今後40年間で5千万人も減るのだ。 人口減少は、生産人口の減少として心配される向きが多いが、それよりも消費人口の減少の方が経済への影響が大きい。生産人口の減少は、ロボットやITの導入、それに外国人労働者の受け入れなどで多少は緩和できるかもしれないが、消費人口の減少は対応策が少ないからだ。ロボットは働く人の代わりはするが、消費はしない。私は観光客が地域の消費人口の減少を補うと考えており、観光振興を重視して取り組んでいるのもそのためである。 こういう視点に立つと、良い商品を持つ事業者はまず九州の中にお客様を作り、その人たちを常連顧客、いわゆるリピーターに育てていくことが重要である。そのように基礎をしっかり固めることができると、九州の外から、その商品を欲しい人たちが九州にやって来ることになる。バブルの頃に、かなりの数の日本人がブランド品を買うためにフランスに旅をしたことを思い出せばよい。人は手に入れたいモノがあれば、そのモノ6

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る