遊撃する中小企業 お試し読み
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まえがきや、市民と一緒にカーネーションを育てるオーナー制度などにも取り組んでおり、地元との関係づくりも忘れていない。 龍宮は、医療用脱脂綿と医療用ガーゼを組み合わせ、オリジナルの健康寝具パシーマキルトケットやパシーマパットシーツなどを製造している。質の良い綿を作るには良質の豊富な水が必要であり、同社は、耳納連山からの伏流水と筑後川の伏流水が複合扇状地を形成する福岡県うきは市吉井町に本社と工場を建てた。東京オリンピック開催の年であった。豊かな水で精練された良質の綿を加工したオリジナル商品のパシーマ製品は、全国の1,000以上の小売店で販売されている。最近では、パリでのテスト販売なども開始した。 その一方で同社は、創業の地である福岡県うきは市で生まれた新生児全員に、子供用寝具「パシーマベビー」をプレゼントする活動を平成26年1月以来続けている。この企画には、お世話になった地元への恩返しの気持ちと、赤ちゃんの健康を願う思い、そしてパシーマの素晴らしさをもっと広めたいという願いが込められている。新生児も20年後には大人になるのであり、消費の判断をするようになる。子どもの頃から使い続けた記憶はきっとプラスに働くに違いない。 他の13社は、九州内で着実に実績を重ねている。オリジナルの農機具で長崎県の農業を支えてきた田中工機の田中秀和取締役副社長の言葉が印象的だ。「農業現場の人手不足はこれからますます進むので、我が社の機械をもっと提案して、産地を維持していく使13

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