遊撃する中小企業 お試し読み
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まえがき好評だという。また、外国からの観光客が増えるとみるや、英語、中国語、韓国語、日本語と4か国語のホームページを開設し、外国人観光客が代理店を通さずに直接予約をできるようにした。これらは、皆、他の旅館に先駆けて実施したのだ。 露天風呂を日帰り客に開放したのも他の旅館より相当早かった。また、キャンピングカーなどを停められる駐車場を整備して車内で泊まれるようにして、宿に泊まらなくても低料金で温泉を利用できるサービスも早くから提供している。 世の中の変化への対応が速いのだ。廃業していく宿をたくさん見て来た私には、このスピードは宝物のように思われる。まさに「先んずれば人を制す」である。 この宿には、旅館経営のヒントがたくさん詰まっている。行き詰まっている旅館経営者には、是非数泊することをおすすめしたい。きっと有意義なものになると思う。 一方、本書で紹介されている15社の中で、九州の外への本格進出で実績を挙げているのは2社しかない。株式会社クラベル・ジャパンと龍宮株式会社の2社だけだが、その両社にしても地域との結びつきを重視しており、地元との良い関係を築いている。 佐賀県で最も早く菊栽培を始めたクラベル・ジャパンは、農園からスタートし、地元で実績を重ねた上に、現社長の平田憲市郎氏が大学卒業後に札幌花市場で働いた経験を活かし、出荷量の9割を札幌に、残りの1割を沖縄にと、州外市場の開拓で成功している。競争の激しい東京ではなくて札幌と沖縄に目を付けたのは素晴らしいことだ。 一方、同社は、サッカーJリーグのサガン鳥栖とのチームカラーの花による合同企画12

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