遊撃する中小企業 お試し読み
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まえがきる評判を上げ続けることが最も重要だと考える。 そうなれば、州外の農家は、長崎県に視察に来るようになるだろう。視察ツーリズムという観光ビジネスが生まれることになり、長崎県や大村市の観光消費金額が増えるはずだ。 その視察ツーリズムの結果、九州のジャガイモ作りが他県の手本となるかもしれない。うまいものには旅をさせるな、と書いたが、良い道具にも旅をさせない方がよいかもしれない。本当に欲しい人は買いに来るはずだ。そして、それはあのスーパーカーのランボルギーニの顧客たちの行動を想い出させる。ランボルギーニ社は宣伝などしないのに、客が大金を持って、本社のあるボローニャという田舎町にプライベートジェット機に乗って買いに来るのだ。客が本当に欲しい、価値のあるものを九州の事業者が作れば、客は九州まで買いに来るのだ。そういう九州を作ることができれば、それが観光業をも盛んにして地元により多くの観光消費をもたらすことになる。 観光ということで言えば、福岡県宮若市の株式会社楠水閣が大変がんばっている。旅館とホテルを比べると、ホテルの部屋数が増えているのに対して、旅館の数はどんどん減少している。何が要因かと問われれば、私は、団体旅行の減少に旅館業が対応できなかったからだと答える。 東京オリンピックで高速道路や新幹線が生まれ、その後の高度成長期の日本では、人々はこぞって旅を楽しむようになった。その頃は団体旅行が多かった。私が社会人になっ10

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