中村タイル商会創立100周年記念誌_150313
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81the history of One hundred years NAKAMURA株式会社中村タイル商会100年のあゆみとができれば、藩は助かるし、私の方は相応の扶持を藩から頂ければ、私はもちろん子孫まで相続でき、飢えで苦しむ心配もないだろう。私はその目的を達成するために、衣食住はいうに及ばず、少しの無駄な費えがないように倹約して暮らしてきた。文政一一年に福岡藩で銀札御礼仕立てになり、御家中へ貸し付けられた件で、無実の罪で入牢を命じられるという誤認逮捕事件に会い、こうした災難にあうのも仲買商をしているからだと考え、仲買商を辞め、数年無商売で過ごした。しかし世の中の宝(お金のこと)をしまっておくのは石瓦と同様でつまらない、それを人に貸せば人助けにもなり、利子も入ってくるではないかとしきりに言ってくれる人があり、私の子孫のことを考え金銀の貸付けを始めることにした。お陰で大いに繁昌した。その後、福岡藩から献金を命じられるたびに相応の御用をつとめ、福博町人格式のおのおのに見合った待遇が与えられ、年行司格まで昇進した。ここで家屋敷を新たに求め、蔵を建て、醤油商売を始めた。職人の家に生まれ、天の御加護を受けたのだろうか。かくも家が繁昌し、藩への

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