中村タイル商会創立100周年記念誌_150313
32/108

32陶器等のほかに、自身腕に覚えがあった水道事業にも乗り出し、八面六臂の活躍ぶりを示している。その時の活動資金は退役軍功労者・勲八等表彰時の褒章金二五〇円が元手だったといい、タイルを仕入れるために、遠く名古屋の本場まで、自分自身で夜行列車を乗り継ぎ出向いたとも伝えられている。その当時、仕入先として取引関係を結んだのが東洋陶器株式会社(現TOTO株式会社)や愛知県多治見地区のタイルメーカーで、永いお付き合いがここから始まった。■先進と人情と当時博多にはタイル販売業者は当社と渕上商店の二社しかなかった。壁塗りが主力の日本家屋には美観を演出するタイル自体が物珍しい建材で、タイル業者はまさに先進企業そのものだったのだろう。それだけに、本場の業者との取引で入荷してくる最新のタイルは人気商品。時の流れも手伝って好調な売れ行きを示したに相違ない。青雲の志に燃える正次郎のやる気と気迫が伝わってくるようだ。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です