木槿の国の学校 試し読み
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19プロローグけ午後も子どもたちを残して、授業を参観させていただきました。一人一人がパソコンを駆使しながらの授業で、日本の学校よりずいぶん進んだ教育がなされているように見えました。特に感心したのは、廊下で子どもたちが校長先生とすれ違うとき立ち止まり、会釈をしている姿が見られたことです。現在の日本では考えられないことです。統治時代の日本の教育を土台に、国家としての将来を見据えながら発展している姿に目を見張ったものです。その後、校長室で私たち三人からの寄付として十万円を校長先生にお渡しし、当校の発展を祈りました。翌年、裵錫倫先生を日本に招き、九州各地を案内しました。それから二十年経った今、韓国では反日ムードが高まり、日韓関係が冷え込んでいることは、とても残念なことです。かつての列れっきょう強諸しょこく国による植民地化のうねりの中での日本による朝鮮統治、公教育としての日本語の指導など、やむをえない選択だったのかどうか、それは私にはよくわかりませんが、日本は世界の大きな渦の中にあったことは否めない事実です。大戦をはさんだ歴史の大きな節目の時期に、学校という一つ屋根の下で知り合った朝鮮人の先生方と一緒に同じ教師として子どもたちの幸せ

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