木槿の国の学校 試し読み
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18プロローグ平成七年、私が夫を亡くし、憔しょうすい悴している時に、かつて日本による朝鮮統治時代、現地の小学校で同僚だった日本の友人たちの思い立ちにより、再び羅州(韓国[全羅南道])の小学校を訪ねる機会を得ることができました。およそ二十年前、私が七十五歳の頃のことです。訪問者は、当時榮えいざんぽ山浦南小学校(朝鮮)の同僚で、同じ福岡県に住む東原先生、森崎先生、そして私の三人です。訪問先は、かつて勤務していた小学校を始めとする三校。案内役は東原先生の知人で、朝鮮の師範学校の先生だった裵ハイ錫シャクリン倫先生です。大相撲が大好きな日本通です。また、東原先生の朝鮮での教え子の息子さんが経営する会社より、運転手付きの黒塗りの車を提供していただきました。当日は、土曜日で午後は放課となっていましたが、学校の計らいにより一クラスだ

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