木槿の国の学校 試し読み
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10下の朝鮮の学校教育という制度の中に身を置き、子どもたちと関わりながら、戦中、戦後の激動期を気丈に生きた一人の女性教師としての足跡です。そして、その中から朝鮮統治のありのままの姿が見えてくるはずです。戦後七十一年が経過しました。これから先当時を知る人はほとんどいなくなります。この度、母の体験を聞き取り回想録として編集を進めていく上で、何より役立ったのが、母がこれまで大事に保管していた祖父の日記です。当時の社会状況を冷静に見つめた貴重な資料となりました。「遅いけれど、まだ間に合う」そう自分に言い聞かせて、母から当時のことを聞き取り、それらを時間軸に沿って繋ぎ合わせ、回想録としてまとめました。当時日本人と朝鮮人とはどのような関係にあったのか。朝鮮での学校の様子はどうであったのか。四十年間の朝鮮統治は国益にかなったものであったのか。それは両国に一体何をもたらしたのか。関連する文献にも目を通していく中で、これらの疑問が、少しずつ解けていくと共に、日本の歴史の一部が見えてきました。なお、本文は、母の回想、祖父の日記、参考文献による関連資料、そして編纂者注とによっ

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