木槿の国の学校 試し読み
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88木槿の国の学校川上先生はいつも不機嫌でした。ある時、南先生が帰った後、「どうして連れてくるの。朝鮮の人ってお風呂にも入ってないのよ」と、川上先生は私に言いました。「いいじゃないの。朝鮮人も、日本人もないでしょう。同じ教師でしょう。そんなこと言うこと自体がおかしいんじゃない。朝鮮の子どもたちがいるからこそ、私たちはこうして教師として学校で仕事をすることができているわけじゃないの。そんなこと言うもんじゃない」と厳しい調子で言い返しました。彼女にはどこか差別的な感情があったようです。その後、南先生を下宿に誘っても、川上先生の雰囲気を察知してか、足を運ぼうとしませんでした。ところで、使用人の金きん賛さん文ぶんのことを紹介します。わが家では、家の仕事を手伝ってもらうために、学校を卒業したばかりの金さんを使用人として雇っていました。十代半なかばの男の子で、とても素直な子でした。弟とは二つ違いと年齢も近かったため、こ

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