こどもたちへ 積善と陰徳のすすめ
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14『和わ語ご陰いん録ろく』について『陰録』という本は、 袁えんりょうぼん了凡が自分の息子のために書き残した善ぜんしょ書(善い行いをすすめる書物)です。この本を著あらわした袁了凡とは明の時代に有名な大学者になった人です。大明賜進士袁えんこう黄といい、号ごうは了りょうぼん凡といいます。そしてむずかしい書名の『陰録』とは息子天てんけい啓を教えさとすために書き綴つづったものなのです。それが中国で善書として世に出ると、江戸時代には、中国と貿易のあった日本にも伝わりました。ちょうど十代将軍家いえはる治の時代です。人びとに善い行いをすすめる善書は人びとの生き方に善い影響を与えるものです。しかし、漢文で書かれていたために、日本では一般の人たちにはたやすく読むことは出来ませんでした。ところが、漢文のお経が読めるお坊さまはこの本が読めました。無むみょうしょうにん名上人というお坊さまが世の中にこの本を広めたいと考えて、和語、つまり日本語に翻ほんやく訳して出版したのが『和語陰録』なのです。今から、その内容をみなさんにもわかりやすくお話しようと思います。しつ

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