こどもたちへ 積善と陰徳のすすめ
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6日本の社会でも、老ろうにゃくなんにょ若男女の中に、ボランティア活動や身の回りで小さな親切を実じっせん践するといった地道な社会貢献活動をしている人々がたくさんいます。善行を積みかさねることで幸運を得ることができるという考え方は、いまだ衰えていないと思うのです。朝起きて夜寝るまでの一日を振り返って、自分の行動を反省し、更に善行の意識を呼び起こして翌日の生活に生かすことは、まことに正しく有益な生き方だと思います。わが国における陰いんの思想を信しんぽう奉した江戸時代初期の著名な学者には、近おうみせいじん江聖人といわれた中なかえとうじゅ江藤樹がいます。また『梧ごそうまんぴつ窓漫筆』の著者太おおたきんじょう田錦城も陰徳を積むことの大切さを記述し、豊ぶんごひた後日田(現日田市)において私塾咸かんぎえん宜園を開き多くの門弟を育成したという広ひろせたんそう瀬淡窓も日々の功過を『万まんぜんぼ善簿』につけて積善を実践しています。彼の死後も咸宜園は明治三十年まで運営され、門弟は日本全国から集まり、四千人を越えたと言われています。このようにすぐれた先人たちが「積せき善ぜんの家に必ず余よ慶けいあり」ということを信じて疑わなかったように、私たちもひたすら目標を定めて、一日一日を大切にしながら積善と陰徳を実践していけば、必ずや目的にかなう人生が送れることを確信するものです。      三 浦 尚 司  しつ

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