こどもたちへ 積善と陰徳のすすめ
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2た。気がついたならば決して二度とそれを行うことはなかった。」孔子の高弟で、聖人に次ぐ者と呼ばれた顔回にも善くない点がありました。しかし、彼はそれに気づき、気づいたならば繰り返すことがなかったということです。人は誰でも善くないこと、過ちを行わないわけにはいきません。大切なことは、それに気づいてそれを改め、再び行わないように努力していくことです。自分の過ちに気がつくきっかけ、それは私たちのまわりにさまざまな形で存在しています。友だちや家族との会話、手にした本や目にしたドラマの中に、車窓から見る風景を通して。それは私たちが他の人々と共に生きていく中で、そして自分自身を振り返ることによって、初めて可能になることなのです。この本はそんなことを私たちに考えさせてくれます。このたび、三浦尚司先生の手によって、『和語陰録』が若い皆さんにもよく分かるような形で意訳されました。どうか、この本を通して善き行い、善き心とは何だろうか、と考えてみてください。皆さんが自分自身の心と向き合うとき、古典のすばらしい言葉、先人たちの多くの体験と豊かな智恵が、きっと皆さんを励まし、よき人生へと導いてくれるでしょう。今、困難の中にある多くの方々にもこの本を贈りたいと思います。

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