こどもたちへ 積善と陰徳のすすめ
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22第四 雲谷禅師の積せきぜん善の教えさて、あなたにとりわけ教えたいことがあります。念をいれてじっくりと心を傾けてお聞きなさい。およそ聖人の著あらわした本には、一字にも千金の価値(ねうち)があるのです。その中でも、『易えききょう経』は、天地鬼神を相手にとって書き著した本なのです。だから一言一句といえども、おろそかにしてはなりません。その賞しょうばつ罰(ほめることと罰すること)や利りがい害(利益と損害)のはなはだしいことは恐ろしいほどです。その『易経』には「善は積らざれば以て名を成すに足たらず、悪も積らざれば以て身を滅ほろぼすに足らず。小人は以て小善を益えき無しと為して為さざるなり。小悪を以て傷無しと為して去らざるなり。故に悪積り掩おおうべからず。罪大おおいにして解くべからず」といっています。まことの意味は、こうです。人々は平生において、少しずつの悪事はそれほどとがめるほどのことはない、このくらいは神さまも仏さまも許してくださるにちがいないと考えて、軽々しく思って小さ

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