『「いいんだよ」は魔法の言葉』試し読み 最新版
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25第1章 立花高校の現在これが毎年のように繰り広げられる立花高校の入試の日の光景です。その一方で、学校にやっとのことでたどり着けた子どもたちの中にも壮絶なドラマが起こります。「ある子は受験票を握りしめて、坂道を登る途中に気分が悪くてもどしたりします。14、15歳の子どもにとって、もどすほどの出来事なんです。それを初めて出会ったばっかりの、顔も名前も知らない他校の子たちが集まってきて、その子の背中をさすってあげるんです。あの光景をみたら、とてもじゃないですけれど不合格はよう出さんですよ」と齋藤校長は熱く語りかけます。「情に流される学校が日本に一校くらいあってもいいと思うんです。そんな思いまでして受験に来た子どもたちを、なんでマルとバツで仕分けせんといかんのですか」社会が寛容さ、多様性を求める時代ならば、そこに、残りの4%の子どもたちがいることに気付けるかどうかだと、齋藤校長は問いかけます。さらには、かつては子どもだった

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