『「いいんだよ」は魔法の言葉』試し読み 最新版
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23第1章 立花高校の現在いって言われて、行けるわけがないでしょう。大人はそれを当たり前の一言で済ませます。だけど、4%の子どもたちにとって、それはとてつもない高いハードルで、当たり前じゃないとです」自ら現場に立つ齋藤校長は、ありありと思い浮かぶ入試の日の様子を思い出しながら、つぶさに語り始めます。「入試の日の朝には親御さんから、ばんばん電話が入ります。『制服を着せたら、久しぶりで入りません。私服でいいでしょうか』、『学校へ行くには行ったけど、恐怖のあまり逃げ出すかもしれん。見とってほしい』、『面接は無理だと思いますから、筆談でなんとか面接してくれんやろか』。もちろん全部オッケーです。そんな中、試験開始の時間が迫ってくると電話の内容が変わってきます。『子どもが受験票握りしめたまま、布団かぶって出てきません』、『玄関先で座り込んでしまって、一歩も動きません』。最初の頃、私たちは家まで迎えに行ってました。でも、違和感がずっとあったんです。

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