『「いいんだよ」は魔法の言葉』試し読み 最新版
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 2旧態依然とした学校のスタイル、それは「同じであること」が求められることです。なぜならば「社会で通用する」ことが学校教育の前提となっているから、と私は解釈しています。だからこそ、ほんの少数の「同じでない子ども」、あるいは「同じであることがとてもつらくしんどい子ども」には、今この瞬間も出口の見えない暗闇の中でさまよっているような、どん底の感覚があるのかもしれません。同時に、「同じであることを立派に実現している子どもたち」も、それが「当たり前」とされてしまっていては、自らの頑張りに気付くこともできません。凄惨な事件が続きます。あたかもその背景に引きこもりや発達障がいが関係しているような論調が目立ちます。安心して引きこもりにもなれないこの時代においては、居場所はおろか逃げ場所さえ許されないのでしょうか。私たち大人も含めて、みんな一生懸命頑張っています。まずはその頑張りに気付くこと、そして他人の頑張りを認め合えれば、「できないことを嘆くより、できていることを認め合う」ような、小さな価値観のオプションが生まれてくると信じています。

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