慰安婦と医療の係わりについて 試し読み
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40児院」を作れと述べた。大蔵省は「自営娼妓を認めよ」と主張しその討議の末に「人身売買」は禁止され、金の遣り取りは「前借金」という貸借関係に置き換え買春防止法まで続いた。(22)買春の問題は貧困の問題と密接に関わっている。貧困のために生まれた直後に子が間びかれ、幼児期には人身売買された時代が長く続き、明治以降も疲弊した人民の身売りの話は続いた。1960年代の初め頃には外来診療で癌の診断をしても治療に結びつかぬことも多かったが、健康保険制度により互いにたすけあって治療が出来るようになった。21世紀となって格差社会の中で貧しさから脱出が困難な人たちがまた出て来たが、まじめに働く人たちが報われていく、正しさの通る社会となるようにしたい。外征軍が出ていった日本国内で人手不足のため、女性が工場や運輸(運転手)などにも広く働き口があり公娼になる者が減少した時期があった。(23) また終戦により復員したり外地より帰還する人々により女性の職場は狭められた。女性の就労対策にどれ程真剣に向き合うかが問われている。改善すべき点として、⑴男性が敬遠する職場に女性が就いているとき、その理由をよく分析して対策を立てること、⑵常勤とパートの給与体系など女性に不利なものを改めて行くこと、⑶子育てをしながら働く女性、母子家庭に対する援助をもっと行なうこと、などに取り組むべきである。女性同志互いに助け合って女性の権利を守るということは、日本の国の歴史のなかにはまだ根付いてない。貧困ゆえの買春、モラルの崩壊や無知ゆえの買春(援助交際など)のない国を築いてゆきたい。人買い、人攫いをしている日本人を厳

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