慰安婦と医療の係わりについて 試し読み
22/30

36召集時身体検査時に行なえば戦場における患者数を激減せしめ得る。酒性中毒性精神病は戦役には多きを常とするが実に中毒者が多い。慢性は多いが、経過中に急性幻覚症及び酒性譫妄、病的酩酊状態もみる。障害致死或いは傷害は悉く酒と関係がある。「徴発」は許される行為だが物品を自己の利欲により徴発なすに至り遂には掠奪となり強奪ともなり而も是等の行為を恥じなくなる。「員数をつける」ということは一種の窃盗行為でこれらが兵の心を堕落させている。予防策として、1. 酒の調節を計ること、軍隊には酒を禁ずること。2. 精神強化の方法として体育的遊技の施設をなすこと。3. 高尚なる慰安施設をなすこと。例えば、シネマ、芝居、音楽堂、図書館、博物館。4. 競技を励行なすこと。5. 慰安所を閉鎖し遊廓に改むること。結論としては、野卑なる遊興場を閉鎖し高尚なる精神的施設となす。軍隊に、速やかに飲酒を調節なすか禁酒制をひくことを提言している。軍医の意見はいずれも娼楼でない慰安施設の要望とアルコール飲料の制限であった。日本本土と植民地であった朝鮮、台湾、樺太の遊廓の調査があるので紹介する。1937年(昭和12)11月東京・貸座敷営業者の動向・昭和4~6年朝鮮半島遊廓調査 内地人3121,900450,3152161,385110,683朝鮮人業者数娼妓数遊興人員内地:朝鮮人59%58%41%42%

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る