慰安婦と医療の係わりについて 試し読み
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35り高尚なる娯楽施設を必要とす。音楽、活動写真、図書或いは運動が良い。娼楼にあらざる軍用娯楽所の設立も希望す。斯くして自ら禁欲を意とせざるの良風を養成す可きなり。検黴は的確にして厳正なるべし。この論文と慰安婦関係の写真10枚を残す(142~151ページ参照)。「武昌の柳(私娼ノ由来及現況)」陸軍軍医少佐・安村光亨⒅ 1941年2月武昌地区の支那側の私娼に対する対策として防疫衛生委員会が配布して注意を喚起した。支那人で私娼行為をなした者が約300名くらいあり、14、5歳より30歳内外の者が大多数で飲食店女給、事務員など多く、夫の出稼ぎ中の者もあり。場所は普通の民家にてもあり 未検黴なるため濃厚な病毒伝搬仲介者である。中国の妓女は罹患した時に必ず相手に感染させねば治癒しないと信じ、行為中に爪やその他の方法でサックを裂いて感染させるという話も紹介している。予防対策として、1. 公娼の確立と私娼の駆逐、2. 妓楼に於ける衛生施設及び娼婦の衛生教育、3. 検黴と治療をあげている。「戦場神経症竝に犯罪について」陸軍軍医中尉・早尾乕雄⒆1938年4月提出。精神科医の記述である。戦時に於ける神経症、精神病がどの様な種類が増加傾向が見られるかを述べる。精神病の中の進行性麻痺性痴呆が黴毒感染期の早まりにより発病年齢が30歳に下って、過労は発病を早からしめている。飲酒後の暴行傷害例にこの患者を発見する。血液ワ氏反応、脳脊髄液ワ氏反応の実施を

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