[お試し読み]ホメシカ理論
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15第1章しようと考えたそうです。最初はうまくいきませんでしたが、徐々に愛さんは調子を取り戻し、シングルスで夢のトップ10入りを果たしたのでした。しかし、愛さんの復活にはもっと重要なポイントがあります。話を聞いてみると、その土台は子ども時代に育まれたようです。芙沙子さんは子育ての間、一度たりとも感情に任せて怒ったことがなかったそうです。若い頃は、大学の研究室で助手として「児童心理学、発達心理学、社会心理学」を研究されていたそうです。そうした学問の知識をベースにして「叱らない子育て」が生まれたのでしょう。こんな話があります。愛さんが2歳のとき、一緒に散歩に出かけようということで、2人は玄関に向かいました。ところが愛さんはなかなか上手に靴を履くことができません。紐がついた靴なので結び終えるまでに30分はかかってしまうのです。それでも芙沙子さんは決して靴を履かせようとはしませんでした。それは靴を履くところから散歩が始まっていると考えることができたので、急がせる必要は何もなかったからです。いくらでも気長に待とうという気持ちになれたといいます。そして、何よりも愛さんが靴を履くことを楽しんでいたそうです。親の勝手で子どもに「こうしてほしい」と思ってしまうから、

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