あなたも『世界の大文学』の通になる 電子ブック
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140ぼくはびっくり驚天。何度も目をこすってみた。すると何と、そこにはとてもようすの変わった少年が立っていて、まじめくさった顔で、しかもぼくをジロジロと見つめているのだ。……こうして、この物語は始まる。おおかたの人は読んでおられるであろうから、詳しく紹介する必要はあるまい。と言っても何を隠そう、この私(観世)自身は比較的最近読んだばかりであります。もしも未だという人がおられても、これは全体で160ページ程度。それも子供向きにゆったりとした紙面作りになっているので、ごく短時間で読むことができます。それにしても本作には熱烈なファンが多いようだから、私ごときがここでとりあげるのは気がひけるくらいです。それでもまぁ、こんな紹介の仕方もあるんだからナくらいに、軽く受けとめて下さることを切望する次第です。〈軍隊へ復帰、そして……〉42~43年の大戦当時、サン=テグジュペリは人気作家ではあったが、政治的な側面では孤独な人であったようだ。何しろフランスはドイツの支配下にあって、他方、抵抗運動は盛んになっていた。

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