あなたも『世界の大文学』の通になる 電子ブック
6/12

138使う、という事態が生じ、その有用性が大いに認識されるのだった。それでも当時の操縦士はごく少数で、特別な存在である。たとえ地上では相乱れて戦闘をしていても、空中にあっては別であった。すれ違う航空士は敵味方が互いに手をふって挨拶をしたという、まるで牧歌的な話が残っている。そのうちに「せっかく敵陣の上空に行くのであれば」ということで、数個の煉れん瓦がを機内に積みこんで、それを相手陣営の頭上に落とすということを思いついた。爆撃の始まりである。これは同時に、非戦闘員や非戦闘地域、そういうことがあまり区別されなくなる、という側面を持つことになるのだった。1918(大正7)年、第Ⅰ次大戦終結。1927(昭和2)年にはアメリカのリンドバーグが単独で大西洋横断の飛行に成功している。第Ⅱ次大戦の終了(45年=昭和20)まで、飛行機は基本的にプロペラである。だからサン=テグジュペリの時代はすべてその中に含まれる。ジェット機の登場と普及は、50年代を待たねばならない。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る