民話いっちょ食べてみらんの 試し読み
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筑後川流域の民話を比較研究してみると、「優しさ」と「恐ろしさ」がバランスよく組み込まれ、この地域に暮らす人々がどんな人間を「良い人間」と考えたのかが見えてきます。人々が民話を語るのは、どうすれば人間として成長できるか、どうすれば幸せになれるのか、それを子や孫に伝えるためだったのです。 さて、本書では数ある民話のなかから、筑後川流域に伝わる――それも「食」と関わりのある民話を集めました。「食は幸福の基本」です。料理を作ることは、食べる人への思いやりや想像力を養います。そして、食べる人も料理人の想像力に心を動かされ、感謝の気持ちが湧いてきます。こうして「食」を通してお互いへの思いやりが育まれるのです。2

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