民話いっちょ食べてみらんの 試し読み
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17 玉垂宮とにな貝ここに大きな大きな大おおくす楠があったけん*9、この大楠の木に大きな紐ひもをむすんで、船を休ませたげな。そこで、神功皇后さんをはじめ船乗りは、船から降りて大善寺玉垂宮に参拝ばさした。その時、にな貝たちもほっとして、「やれやれ、俺たちもやっと休まれる」と喜んで船から大楠の木によじ登って、眠てしまったげな。神功皇后さんな、参拝ばすると別の船に乗って旅立っていかした。それとも知らず目を覚ましたにな貝たちは、「神功皇后さまはまだ帰ってこん」と何度もいいながら待っとったげな。待ちくたびれたにな貝は石のように固くなって、いまでん神功皇后さんの帰りば待っとっとばい。*9 〜から

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