事業承継の資料(電子ブック用)
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心の事業承継企業例32© 2015 Azusa Shoin. All rights reserved.A社(従業員35名、資本金1000万円)は、和雑貨の製造等を行う企業である。商品を各地の問屋に卸しているが、近年は自社ブランド品の開発、小売への展開等に取り組み、売上、従業員数を増やしている。また、地域産業資源である布帛等を活用することで、地域にも貢献している。同社のT社長は1990年に40歳で創業者から事業を承継した。創業者は、事業承継を早くから念頭に置き、長期の経営計画に事業承継計画取り込んで、計画的に実施。長期的な計画のもと、先代社長からT社長に、さらにT社長の長男であるS専務への事業承継も視野に自社株式の移転を10年以上掛けて段階的に行った。現在36歳のS専務は、早いうちから従業員等に後継者として周知され、また経営者としての能力を身に付けるために、入社以来OJTで厳しく鍛えられ、円滑な事業承継に向けた準備が整えられている。T社長は創業者から事業を引き継いだ時点で次代の後継者へのバトンを渡す必要性を自覚し、会社の歴史、創業者の社訓や経営に対する考え方、経営ビジョン、お世話になった方々への感謝の気持ちといった目に見えない経営資源を日記として残し、「わが社の歩いてきた道これから歩んでいく道」というタイトルで本を出版(私家版/50冊発行/2008年)。S専務はこの本を元に、社史を発刊することを会社へ提案。基幹社員と共に編集チームを作成し、2年かけて発刊へと至る。現在、この社史を社員教育や新卒採用にも活用し、更なる事業の発展に役立てている。

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