概要
カトリック教徒としての作者の発送、志向は、詩篇の『聖骸布』をはじめ随所にみられるが、それらがなおしばしば、<観念>と<日常>の二頂対立の形で語られる弊をまぬがれえていないとすれば、この『聖木曜日』は作者の第二のステップの出発点となるものであろう。作者の眼は時に男女の機微を問い、女性の鬱屈を語り、あるいは<存在>の根を語り、また<言葉>とは何かと思念する。その多用な詩的試行の根源に、<生命の言葉を求め><生きた言葉>(『シクラメン』)の鼓動に耳傾ける、作者根源のモチーフを読みとることが出来よう。 佐藤泰正 前梅光女学院大学学長 (序)より抜粋