邪馬台国122号サンプル
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しかし、『背信の科学者たち』のなかに、つぎのような文章がある。「プトレマイオスは、〝古代の最も偉大な天文学者”として知られている。しかし、彼の観測の大部分は夜間にエジプトの海岸で行われたのではなく、白昼、アレクサンドリアの大図書館で行われた。彼は図書館でギリシャの天文学者の研究を盗用し、自分の研究だと主張した。」小保方氏の二回目の記者会見について、「毅然としていた」「凛としていた」「オーラを感じた」という見解と、「図太い」「虚言癖の人」「うまく批判をかわした」という意見とがあった。ここは小保方氏に好意的にみてみよう。科学者には、みずからの仮説を信じて、粘り強く実験や調査を続ける能力が必要である。ガリレイは、「それでも地球は動いている。」といったという。小保方氏が「それでもSTAP細胞は存在している。」というのは、科学者としては、当然の姿勢ではないのか?みずからが見たSTAP細胞を守るために、全世界を敵にしてでも戦うのは、本当の科学者の姿ではないのか。このようにみてくると、今回のSTAP細胞に関する一連の事件は、科学史上でしばしば起きてきたことを、集約的に示している。私などは、ほんの二、三枚の依頼原稿でも、念には念をいれて、間違いのないようにしあげようとする。天下の、いや世界の代表的科学誌『ネイチャー』に、うっかりミスで、博士論文での写真をいれる、などというのは、ちょっとあまりにも、という感じはする。科学の世界で、夢をもつのはよい。仮説をもって、対象にいどむことも必要である。「地球はそれでも動く」と考えるのも、「STAP細胞は、それでも存在する」と考えるのも、「纒向の地に邪馬台国があった」と考えるのも、「仮説」としては、当然ゆるされる。「纒向の地=邪馬台国説」は、「STAP細胞存在説」と同程度に、あるいは、それ以上にアラをもっている。その指摘は、すでになされている。その検討をぬきにして、マスコミ宣伝を優先しては、ならないと思う。小保方晴子氏は、ほとんど吊るしあげにも近い雰囲気のなかで、二時間半にわたり、みずからがありありと見たSTAP細胞のために、精一杯きちんと戦ったようにもみえる。「纒向=邪馬台国説」は、長時間の公開討論に、耐えたことがあるのか。小保方事件の本質を考えてみよう。本質的な点は、「STAP細胞が存在するか否か」にある。一段階ずつ、厳密にチェックしながら、小保方氏の示す

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