中村タイル商会創立100周年記念誌_150313
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402 合資会社の設立順調な発展下にあった正次郎のトキワ商会だが、業としてはやはり個人商店の域を出なかった。しかし、取引先が建設会社、工事施工事務所などの法人企業が普通になるに連れ、個人企業形態は不都合な面も出てくるようになったのだろう。昭和八年になると会社そのものの組織変更を断行、「合資会社中村タイル商会」を設立した。ここで初めて中村タイル商会の名前が登場することになる。資本金は一万五千円で、残っている記録によると正次郎はこのうち一万三千二百円を出資し、唯一の無限責任社員として、自ら退路を断って事業に邁進する決意を示している。また、現存する定款は、カタカナ混じりで書かれていて、手書きの表紙に始まり、内容も会社登記簿抄本にそって完璧に作られており、正次郎社長の厳格な人柄が読み取れる。

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