中村タイル商会創立100周年記念誌_150313
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35the history of One hundred years NAKAMURA株式会社中村タイル商会100年のあゆみかばかり貯金し、其の内から因幡町某大工氏に注文をして一脚の小机を求めた。当時の壱円八十銭といえばなかなか大金であった。高等小学校卒業後も木机に向かい勉強した。一人の妹が嫁に行く時、この机を兄として餞別のつもりで贈った処が、壮年時代には十何回と次々に住居移転。全盛時代には名古屋にいたことも、下関にいたこともあった。そして、其の中途四人の子供を残して妹は故人となった。しかし、その間この机は破損だにせず。天秤棒木箱は残念ながら、昭和十九年六月十九日午後十時頃より二十日明け方に至る戦災で焼失。左官用具黒塗り木箱一式は十六才にして父の職業に従い、父より譲り受けし諸道具。(家宝としたが、次代に受け継ぐ必要はなく、思い出として書いた――との付記あり)

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